朗読「さくら」

線路沿いに続く、桜並木を見ていた
その姿は美しく、そして悲しい

初老の紳士が、慣れない手つきで、ファインダーを覗いている
切り取られた瞬間は、彼の人生を桜色に染めるのだろう

桜が美しいのは、永遠など無い事を知っているからだ
咲き乱れたかと思うと、もう、その命は攫われる

同じ事を繰り返し
来年も、そのまた次の年も
こうして、咲きこぼれてゆくのだ


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